第2回 自己紹介 島﨑(しまざき)学芸員 - ホームメイト

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はじめまして!名古屋刀剣博物館名古屋刀剣ワールド学芸員の島﨑(しまざき)です。この「学芸員のつぶやき」では、所蔵品の紹介や展示のあれこれ、博物館の裏側など様々な情報をお届けしていきたいと思います。当館をより楽しんでいただけるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。

まずは自己紹介から

島﨑(しまざき)学芸員

島﨑(しまざき)学芸員

改めまして、学芸員の島﨑(しまざき)です。色々と書く前に、まずは自己紹介をしたいと思います。

プロフィール

出身地: 東京都
研究分野: 中世の喫茶文化史
趣味: 全国の寺社・史跡・博物館巡り、散歩
好きな刀: 相州伝の刀、刀身彫刻がある刀

大学は文学部で、日本史ゼミに入ったのですが、もともと日本史を専攻するつもりだったわけではありませんでした。なにしろ受験は世界史でしたので、高校3年生のときなんて日本史の勉強はまったくしていません。ところが人生何があるか分からないもので、大学1年生のときに受けた古文書の講義が面白くて、そこから日本史、特に中世史(もっと言えば南北朝時代)にのめり込みました。

趣味が寺社・史跡・博物館巡りになったのも大学生の頃です。日本史ゼミは毎年2回ゼミ合宿を行っていて、事前に合宿先の歴史や史跡などについて調べてから現地へ行くことになっていたのですが、史料でも建物でも「実物を観ると新しい発見が沢山ある」ということに感動しました。まさしく百聞は一見に如かず。

ネットも普及していますし、情報を手に入れるのは簡単な時代です。しかし、実際に観て初めて分かることが数多くあるのだと分かってからは、暇さえあればあちこちへ出かけるようになりました。

学芸員になる前と後

学芸員になろうと思ったのは大学生になってからです。通っていた大学には学芸員課程がなかったので、博士課程の2年目に別の大学の通信教育課程を受講して資格を取りました。資格取得と並行して、首都圏の博物館でガイドボランティアやアルバイトをしたのですが、これはとても良い経験だったと思っています。

学芸員になったのは2020年、新型コロナウイルスの影響でどこの博物館も思うような活動ができなくなってしまった時期です。休館を余儀なくされたり、感染症対策で展示内容の変更をしなければならなかったりと色々ありましたが、様々な工夫をしながら業務にあたりました。

これまで携わってきた業務は、企画展やイベントの開催、図録の作成、収蔵品の管理、広報など多岐にわたります。なかでも印象深いものと言えば、図録の作成です。一番はじめに担当したのは小冊子のような薄い物だったので、まあすぐにできるかと思ったのですが、そんなに甘くありませんでした。美術品の手配、写真の準備、解説の執筆、レイアウト、色や文字の校正などなど。想像以上にやることが多くて、こんなに大変なのか、と驚いたものです。

そして名古屋に来たのは2021年。現在は開館準備を進めつつ、刀剣ワールドのサイトに掲載しているコンテンツ記事を書く日々です。博物館で皆さんとお会いできるのをとても楽しみにしています。

お茶と刀剣

今回は最後にお茶と刀剣の話を少しだけしたいと思います。

先ほど書いたように、私の専門はお茶の文化史です。公家の日記や古文書などに書かれたお茶の記録を分析して、誰がどこでどのようにお茶を飲んでいたのかなどについて研究しています。時代は14世紀が中心。教科書にも載っている有名人「千利休」の頃よりも200年ほど前になります。「そんな時代からお茶ってあったの?」と思われる方も多いでしょうけれど、あったんですよ。

さてお茶と刀剣、一見かかわりがないようですが、実はそんなことありません。「織田信長」や「豊臣秀吉」などの武将と刀の関係が深いのは言うまでもないことですが、実はお茶を好んだ武将も多くいたのです。お茶も刀剣も武将とかかわりがあり、かつ長い歴史を持った日本文化と言えます。

また、刀装具には茶道具があしらわれた物もありますし、茶室には「刀掛け」もみられますね。刀掛けは茶室の入り口にある物で、文字通り刀を置いておくための棚のような物です。「茶室では身分差なく、みな平等」という考えから作られたと言われています。

北館6階 学習室/茶室

北館6階 学習室/茶室

ちなみに、当館の6階には学習室/茶室があり、刀の鑑賞会ができる他、お茶会もできるようになっているのです。

せっかく設備もあるわけなので、開館したらお茶と刀、武将に関するイベントができたらと考えています。

愛知県犬山市には「織田有楽斎」(織田長益[おだながます]:織田信長の弟)が建てた国宝茶室の「如庵」(じょあん)がありますし、お茶に興味がある方も多いのではと思っているのですが、いかがでしょう。私も色々と構想を練りますので、ご意見やアイデアがありましたらお寄せいただけると嬉しいです。

学芸員・博物館職員のつぶやき

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