第10回「刀身彫刻と樋」

「刀剣マンガ教室」の第10回では、日本刀に施された彫刻「刀身彫刻」の世界をご堪能いただけます。その概要、意匠、美しい透かし彫りについてはもちろん、刀身彫刻の一種「樋」(ひ)の種類も解説。実際の彫刻の画像とともにお楽しみください。

刀身彫刻には、立体的で凝ったデザインの彫刻から、ただ単に一本の溝が彫られたものまで様々な種類があるぞ。日本刀をより美しく飾る刀身彫刻と樋について観ていこう。 刀身彫刻とは、名前の通り刀身に彫られた彫刻のこと。彫刻には、信仰・戦勝祈願・お守り・装飾など、様々な意図や願いが込められたんだ。 刀身彫刻は、はじめ刀身の軽量化などを目的として誕生したんだ。鎬地に掻かれた「樋」は日本刀の強度を保ったまま実用性を高めた他、後世には装飾としても工夫が凝らされているぞ。 連樋、腰樋、棒樋に添樋、二筋樋など樋にはいろんな種類があるぞ。 樋を除く刀身彫刻で、最初期の刀身彫刻は、梵字や素剣など、シンプルで仏教にまつわる意匠が一般的だったんだ。繊細な意匠を施した最初期の刀身彫刻は鎌倉時代初期の「豊後国行平」の作と言われている。 刀身彫刻のデザインは、不動明王像や梵字、地蔵など信仰心にまつわるものの他、龍や梅なども人気だ。特に、武士のなかでは立身出世・厄除けの功徳がある不動明王を表すデザインが好まれたぞ。 埋忠明寿と一竿子忠綱は特に高名な刀身彫刻の名手。特に一竿子忠綱は「彫のない一竿子は買うな」と言われるほどの腕前を誇ったんだ。龍の顔にそれぞれの特徴が現れているのが分かるだろう。 透かし彫りとは、刀身に穴を開け、立体的な彫りを施した彫刻のことだ。刀の耐久度は下がるので、戦のない江戸時代の作刀に見られるぞ。黒く見えるところは背景まで見えている部分なんだ。

登場キャラクター

小清水 行平
江戸時代の刀剣キャラクター「小清水 行平」をご紹介します。