第14回「新刀の種類と変遷」

刀剣マンガ教室第14回「新刀の種類と変遷」では、江戸時代初期から江戸時代中期にかけて作刀された日本刀「新刀」について紹介いたします。 街道が整備され、泰平の世となり、人や物の往来がしやすくなった江戸時代を謳歌した期間に作刀された日本刀は、時代を反映するような華やかなものでした。

新刀とは、桃山時代後期にあたる慶長元年(1596年)から新々刀が登場するまでに作刀された日本刀を指します。 実戦刀の需要が減少し、華やかな桃山文化が花開いた時代に登場した新刀がどのように変化していったのか見ていきましょう。 新刀の定義は、江戸時代中期の刀剣書「新刀辨疑」において、「慶長以来」と明示されたことで普及します。 安土桃山時代にかけての旧来とは異なった革新的な時代の流れに触発され、古刀期とは違った鍛刀法が編み出され、五箇伝以外の地から新しい名匠が興りました。 古刀と同様に新刀にも作刀地、作刀年代により分類することができます。  新刀全体の特徴は実戦に用いられた古刀とは作風が異なり浅い反りと厚い重ね、広めの身幅、精緻な地鉄、華やかな刃文に見られます。 慶長新刀は、1595~1624年 (文禄4年~寛永元年) 頃に作刀された日本刀を言います。 身幅と先幅に差がなく華やかで豪壮な刃文が特徴的。 桃山時代の華やかさを示すような、沸本位の大きく乱れた美しい刃文が特徴的。 代表的な刀工に、「堀川国広」「埋忠明寿」がいます。 寛文新刀は、1661~1668年 (寛文元年~延宝9年)頃を中心に作刀された日本刀。 大小を腰に差して歩くのにちょうどいい長さで反りの浅い姿に、焼き幅の広い刃文が特徴。江戸、大坂で盛んに作刀されそれぞれ「江戸新刀」、「大坂新刀」と呼ばれました。 寛文新刀時代に江戸で作刀された刀剣のこと。 武士の集まる土地柄のため切れ味が重視されていました。 黒味を帯びた地鉄に、直刃に湾れが混じった刃文が特徴と言えます。「長曾祢虎徹」や「野田繁慶」が代表的な刀工です。 寛文新刀期に大坂・京都で作刀された刀のこと。商人が集まる土地柄のため、切れ味よりも優雅さが優先されました。 刀よりも脇差が多く、ゆったりとした焼き出しが特徴。 代表的な刀工に「一竿子忠綱」「井上真改」などがいます。 一竿子忠綱の作刀は、優美な足長丁子乱れと豪壮な彫刻が特徴です。華やかな大坂新刀らしい作風です。 天下泰平となった世の中では刀の需要が薄れ、刀工が減少。作刀される刀も身幅が狭く、重ねも薄い、実戦刀にはほど遠い姿をしていました。 その中で、古刀へ回帰しようとする動きが出現し、新々刀期へ移行していくのです。

登場キャラクター

安曇野 葵
平安時代の刀剣キャラクター「安曇野 葵」をご紹介します。