光る君へのあらすじとライターのつぶやき

光る君へ 6話「二人の才女」 - ホームメイト

文字サイズ
こんにちは!刀剣ワールドライター・こだちです。2024年(令和6年)2月11日(日曜日)にNHK大河ドラマ「光る君へ」第6話「二人の才女」が放送されましたね。このタイトルが示す才女のひとりは、本作の主人公「まひろ」こと「紫式部」(むらさきしきぶ)、もうひとりは同時代の女流作家「清少納言」(せいしょうなごん)です。ついに登場した清少納言が、どのような人物として描かれ、まひろとの間柄はどうなりそうなのか、興味津々だった第6話を振り返ります。
大河ドラマ歴史年表(歴代別/時代別)
これまで放送された大河ドラマ、及び今後放送予定の大河ドラマを一覧で見ることができます。
2024 大河ドラマ「光る君へ」
2024年(令和6年)放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」のあらすじやキャストをご紹介します。

あらすじ(2024年2月11日放送分)

屋敷に戻ったまひろは、父・藤原為時の胸で泣きます。藤原為時はまひろを心配し、左大臣家で行われる和歌の集いに参加しなくて良いと告げました。しかし、まひろは、これからも左大臣家に通い、左大臣・源雅信の娘・源倫子と親しくなるように努めると語ります。藤原為時は大いに感動しますが、まひろは自分に使命を課すことで、藤原道長から遠ざかろうとしたのでした。

一方、藤原道長は、兄である「藤原道隆」(ふじわらのみちたか、演:井浦新[いうらあらた])の屋敷を訪れます。そこで藤原道長は、花山天皇の叔父「藤原義懐」(ふじわらのよしちか、演:高橋光臣[たかはしみつおみ])が、有力な家の子弟である「藤原公任」(ふじわらのきんとう、演:町田啓太[まちだけいた])と「藤原斉信」(ふじわらのただのぶ、演:金田哲[かなださとし])を懐柔し、花山天皇の一派に組み込もうとしていることを知ることに。若者達が花山天皇や藤原義懐一派に傾くのは良くないと考えた藤原道隆は、漢詩の会を開くことにし、講師として藤原為時や歌人の「清原元輔」(きよはらのもとすけ)を招くことにしたのです。

漢詩の会の当日、まひろが待機していると、清原元輔の娘「ききょう」(のちの清少納言[せいしょうなごん]、演:ファーストサマーウイカ)がやってきます。そして、会がはじまった頃、遅れて藤原道長が現れました。会の間、まひろも藤原道長も互いのことが気になり、集中することができません。しかし、2人は言葉を交わすことなく、会は終わってしまいます。

それからしばらくして、藤原道長が大内裏の警備をしていると、盗賊一団と遭遇。藤原道長は逃げる盗賊団に矢を射り、ひとりの盗賊の腕に命中させます。その男は、なんと直秀でした。実は京を騒がせている盗賊団は、直秀のいる散楽一座だったのです。

その晩、まひろのもとへ藤原道長から文が届きます。それはまひろへの恋心を詠んだ和歌でした。

ライターのつぶやき「清少納言、登場!」

紫式部と清少納言はライバルだった?

すれ違っていた、ふたりの才女

清少納言(絵本百人一首)

清少納言(絵本百人一首)

紫式部清少納言は、ほぼ同じ時期に活動しており、紫式部は「一条天皇」(いちじょうてんのう)の后「藤原彰子」(ふじわらのあきこ/しょうし)に仕え、清少納言は、一条天皇のもうひとりの后「藤原定子」(ふじわらのさだこ/ていし)に仕えていました。

このため、紫式部と清少納言は、自分が仕える后こそ、より深く天皇の寵愛を受けられるようにと張り合っていたと思われがちです。

しかし、紫式部が藤原彰子に仕え始めたのは、清少納言が主の藤原定子を亡くして宮中を去ったのちでしたから、ふたりは面識がなかったと考えられています。

それなのに、紫式部は著作の「紫式部日記」のなかで、清少納言について「得意げに漢字を書き散らしているけれど、よく見ると間違いが多く、大したことはない」などと書いているため、清少納言を敵視していたように受け取られているのです。

どうやら紫式部は、亡き藤原定子が明るく教養のある女性で、清少納言のように才気あふれる女房らと共に文化サロンを形成し、一条天皇や朝廷人に慕われていたのを意識し過ぎて、「私がお仕えする藤原彰子様だって素敵なお方よ!」と一方的に対抗心を燃やしていたように思えます。

こうした背景があるだけに、「光る君へ」での紫式部と清少納言は、どのように出会い、かかわり合うのかを楽しみにしていました。

才女対決、初戦は清少納言が制す

第6話で、まひろと、のちの清少納言である「ききょう」が出会ったのは、「藤原道隆」(ふじわらのみちたか)が催した漢詩の会でのことでした。まひろとききょうの父親が、どちらも漢詩に通じた学者であったために講師として招かれ、娘らも同行したのです。

この会の主賓は、将来有望かつ美男と噂の青年貴族らで、ききょうは今をときめく貴公子らと同席できるのを喜び、初対面のまひろに対して「胸が高鳴りますわ!楽しみましょうね」と物怖じしません。

藤原道長

藤原道長

一方のまひろは、この会に参加した「藤原道長」(ふじわらのみちなが)の提出した漢詩が「共に酒を飲みたいのは、あなただけだ。1日中あなたのことを思っていた」と、まひろへの気持ちを託した内容だったため、気もそぞろです。

そんなところへ感想を求められ、まひろは慌てて参加者のひとり、「藤原公任」(ふじわらのきんとう)の漢詩を「白楽天[はくらくてん]のようでした」と讃えて、その場をしのぎます。

この白楽天とは、唐(とう:現在の中国)の高名な詩人「白居易」(はくきょい)のことで、平安貴族に最も愛好され、漢詩文の模範にされていました。その名前を、上の空だったまひろが、とっさに出したのは、さすが才女ですが、白楽天に喩えておけば悪いようにはならない、当たり障りのない感想でもあります。

これに対して、ききょうは「私はそうは思いませんわ!」としゃしゃり出て「むしろ白楽天の親友、元微之[げんびし]のようでした」と異論を唱えました。そういう性分だから、のちのち紫式部に悪口を書かれるのだと苦笑したくなりますが、小賢しく、鼻っ柱の強い女性と思われようとも、言いたいことを言う人物像は嫌いじゃありません。

空気を読めない才女ふたり

そもそも空気を読めないのは、まひろも、ききょうと同じです。第3話「謎の男」では上流貴族の姫君らの集いに初参加して、カルタ取りに似た「へんつぎ」という漢字学習ゲームで、漢字が分かるのを良いことに独り勝ちしていました。

ああいう場面では、先輩の姫君らに花を持たせつつ、「あの新入り、なかなかやるわね」と思われる、ギリギリの線を狙っていくのが女子社会での処世術なのに。

このように、まひろとききょうは、賢さや自分流を貫くところが似ているようです。この先、ふたりが互いに一目置く関係になってほしいと思った出会いでした。

漢詩の会の裏でうごめく政局

藤原道隆の巧みな人心掌握術

第6話で描かれた漢詩の会は、単なる貴族の優雅な遊びではありません。この会を開いた藤原道隆は、政敵の「藤原義懐」(ふじわらのよしちか)が、優秀な青年貴族らを派閥に取り込もうとしているのを警戒し、青年貴族らを懐柔しようと漢詩の会に招いたのです。この場で、藤原公任は帝政を支えんとする志を漢詩に詠み込み、「藤原斉信」(ふじわらのただのぶ)は自身の出世が遅れていることへの焦りを漢詩に託していました。

こうした本音を藤原道隆は読み取り、「そなたらの思いをかなえるべく力を尽くす。共にこの国をより良き道に導いて参ろう」と呼びかけて、青年貴族らの心を掴んだのです。

藤原詮子、ゴッドマザーへの一歩を踏み出す

藤原詮子

藤原詮子

第6話では、藤原道隆の妹「藤原詮子」(ふじわらのあきこ/せんし)もまた政局に参戦するべく、左大臣「源雅信」(みなもとのまさのぶ)に協力を強いていました。

この藤原詮子は、先帝「円融天皇」(えんゆうてんのう)の皇子を生み、女性として栄華をきわめたはずですが、自分を政治の駒として利用するだけの父「藤原兼家」(ふじわらのかねいえ)や、皇子を生んだら用済みとばかりに冷酷になった円融天皇に傷付けられています。

しかし、藤原詮子は悲しんでばかりの女性ではありません。将来の帝の母という立場を存分に利用して、父や兄と渡り合えるほどの政治勢力になろうとしています。これから藤原詮子が、どんなやり方で男性社会に食い込むのかが楽しみです。

次回2024年(令和6年)2月18日(日曜日)の「光る君へ」

第6話の終盤で、「花山天皇」(かざんてんのう)が、最愛の「藤原忯子」(ふじわらのよしこ)を亡くし、取り乱していました。一方、まひろは藤原道長からのラブレターを受け取り、心が揺れ動いています。これらのできごとは、第7話「おかしきことこそ」で、どう動き出すのでしょうか。ラブストーリーと政治ドラマが絡み合う展開から目が離せません。