第4回 日本刀の鑑賞ポイント 姿

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日本刀が好きならば、しっかりと知っておきたいのが「日本刀の鑑賞ポイント」です。 日本刀に詳しい刀剣ワールドのライターさん達は、一体、日本刀のどの部位に注目して鑑賞しているのでしょうか。ここに気付けば、もっと日本刀が好きになる、深くて楽しい「日本刀の鑑賞ポイント 姿」をお伝えします。

今回の座談会参加者

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ
  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜
  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味
  • 今回の座談会参加者「司会:佐藤」の似顔絵 司会:佐藤
  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    今回は、「日本刀の鑑賞ポイント」について語っていきたいと思います。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵

    よろしくお願いします。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    日本刀を鑑賞する3つのポイントがありますよね。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    姿」(すがた)、「刃文」(はもん)、「地鉄」(じがね)の3点ですね。

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    姿とは、刀身(とうしん)の上身(かみ)の部分、鋒/切先(きっさき)から「棟区」(むねまち)までのことです。体配とも言います。
    刃文とは、「焼き入れ」(やきいれ)によって付けられた焼刃の形状のこと。地鉄とは、「折り返し鍛錬」によって生じた「鍛え肌」(きたえはだ)や「地肌」(じはだ)の模様のことを言います。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    そうですね。

    まず、今回は日本刀の姿について、詳しく語っていきましょう。

「反り」について

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    私が日本刀の姿で、いちばん注目するのは反りです。反りとは、鋒/切先から棟区までを線で結んで、棟とその線までが一番離れている寸法のことを言います。反りって、本当に美しいなって思います。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    反りの種類は時代によって変化していますよね。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    変化の主な理由は、戦闘様式の変化によるものです。

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    平安時代から鎌倉時代初期にかけては、戦闘様式は馬上戦で一騎打ち。腰に吊した太刀を馬上で素早く抜くには、反りがある刀の方が抜きやすいのです。このため、この時代の太刀は、反りが大きくて優美な「腰反り」(こしぞり:反りの中心がに近いところにあるタイプ)でした。
    それが南北朝時代になると、戦闘様式は馬上戦の集団戦へと変わり、大太刀を背中にかつぐようになります。このため、反りは中くらいで壮麗な「中反り」(反りの中心が刀身の中心にあるタイプ)となったのです。さらに、室町時代や戦国時代になると、戦闘様式は徒戦(かちいくさ)となって、打刀を腰帯に差すようになります。このときに反りは浅く潔い「先反り」(反りの中心が鋒/切先寄りにあるタイプ)に変化。刀は反りが浅い方が、狭い場所で抜きやすいのです。そして、江戸時代になると、もっと反りがなくなって「無反り」になります。新々刀以降はまた違いますけどね。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    どうして、江戸時代には、反りがなくなったんでしょう?

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    江戸時代は、戦がほとんどない平和な時代でしたよね。そこで流行したのが「剣術」です。戦はないけれど、武士はいざというときのために訓練をしていたんですね。剣術は真っ直ぐな「竹刀」(しない)を使って練習するので、本番で使用する日本刀も竹刀に似た反りのない物の方が扱いやすかったです。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    なるほど。
    ところで、反りって「短刀」にもあるんですか?

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    もちろんですよ。短刀の反りも違いがあって楽しいです。

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    面白いのが「内反り」(うちぞり)ですよね。普通、刀身は棟側に反っているんですが、これは逆で、刀身が刃側に沿っています。
    また「筍反り」(たけのこぞり)も内反りの一種なんですけど、刀身に反りが少なく、上身が刃のほうに傾いているタイプ。短刀も、戦がない江戸時代には無反りとなっていきました。

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    このように、反りを観ると、ある程度、刀が作られた時代が分かるようになります。
    また、日本刀の美しさが表現される要になる箇所と言えるので、じっくりと観るようにして下さい。

「身幅」と「重ね」について

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    反り以外にも戦闘様式の違いによって変わった部位と言えば、「身幅」(みはば)と「重ね」(かさね)ですよね。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    それは、鎌倉時代後期に「相州伝」(そうしゅうでん)が完成したことが関係してますよね!

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    そうなんですか?

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    相州伝は、相模国(現在の神奈川県)で開発された刀剣作りの伝法です。鎌倉時代中期に元寇(蒙古襲来)があった結果、それまでの日本刀は、身幅が狭くて細くて反りも大きく優美だけれど、華奢で折れやすいという欠点が分かったんです。
    そこで、鎌倉幕府は、蒙古刀に負けないくらい大きくて豪壮で、強い刀の開発を要望。それに応えたのが、相州伝の「正宗」(まさむね)だったのです!

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    正宗が完成した相州伝は、本当に画期的。硬軟の地鉄を合わせて強度を向上し、また柔度も実現したんですよね。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    そう。「折れない、曲がらない、よく斬れる」のに加えて、身幅が広くて豪壮なのに、重ねが薄いから軽量化にも成功したんです。だけどそのあと、刃長が3m、4mまで大太刀化。馬上でバランスを取って担ぐことができなくなり、戦場まで侍従に徒歩で持たせたと言われています。でも、それでは、いざ使うときに使い勝手が悪くて困りますよね。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    それで、室町時代には、太刀が打刀に大磨上(おおすりあげ)されて、短くなったんですね。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    そうなんです!そんな最強の刀・相州伝は、伝法が高度過ぎて継承されず、今では、もう誰も作れないと言われています。だから鎌倉時代後期頃の刀は、貴重なんです。

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    そういえば、江戸時代に「山田浅右衛門」(やまだあさえもん)が切れ味を試す「試し切り」をしていましたが、正宗などの鎌倉時代後期の刀は貴重過ぎて試し切りができなかったそうです。だから、業物にはトップブランドの正宗が入ってないんですよ!

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    ランクが付けられなかったほど貴重だったんですね!

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    日本刀の姿について語るには相州伝は欠かせないですね。

おすすめの刀

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    「姿が素晴らしい」というイチオシの刀はありますか?

  • 今回の座談会参加者「甘味」の似顔絵 甘味

    私は「三条宗近」が作った国宝「三日月宗近」(みかづきむねちか)です。実際に、東京国立博物館で観たのですが、すごく素敵でしたよ。反りは、2.7cmで。反りが本当に優美で綺麗だと思いましたね。日本刀を知らない人が観ても、優美と感じると思います。

  • 今回の座談会参加者「つばめ」の似顔絵 つばめ

    私は正宗が作った国宝「観世正宗」(かんぜまさむね)。反りは1.9㎝とほど良い感じ。大磨上無銘なんですけど、磨上げてなかったら、もっと大きくて雄大で迫力があったに違いありません。

  • 今回の座談会参加者「仔竜」の似顔絵 仔竜

    私は桑名宗社所蔵の「太刀 銘 勢州桑名郡益田庄藤原朝臣村正作/天文十二天癸卯五月日」です。反りは3㎝。室町時代には反りは浅いはずなんですけど、実戦では使わず神社などに奉納された刀は別だったようです。戦時中、黒漆を塗られて疎開していた太刀なんですけど、最近になって黒漆が取り除かれて研磨されたら、それはもう美しくて。いつか絶対に実物を観に行こうと思います。

  • 今回の座談会参加者「佐藤」の似顔絵 司会:佐藤

    皆さんのイチ押しの刀はそれぞれ特徴的ですね。日本刀の姿はたくさん観るところがあります。今回語り足りなかったところもありますが、今回はここでお開きにします。
    次回は、刃文についてお話していきます。

今回の座談会に登場した日本刀

太刀

三日月宗近
三日月宗近
三条
鑑定区分
国宝
刃長
80
所蔵・伝来
足利家 →
徳川秀忠 →
東京国立博物館

打刀

観世正宗
観世正宗
-
鑑定区分
国宝
刃長
64.4
所蔵・伝来
観世左近 →
徳川家康 →
本多忠刻 →
徳川慶喜 →
有栖川宮熾仁親王 →
東京国立博物館

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