刀剣の豆知識

刀剣を販売・買取する刀剣商(刀剣店)とは

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洗練された美術品として、その高い価値が認められている刀剣・日本刀。筋金入りの愛刀家はもとより、近年は漫画やゲーム、映画などで目にする機会も多く、日本刀に魅了されるファンが増えています。
そんな日本刀ファンの方なら、真剣を手もとに置いてみたいと思うのではないでしょうか。日本刀を購入する際に頼りになるのが「刀剣商」(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)です。刀剣商とは、「古物商」の資格を持つ刀剣専門店のこと。刀剣商ではどのように刀剣販売と刀剣買取を行っているのかをご紹介すると共に、日本刀を購入・売却するときに注意すべき点についても言及していきます。

日本刀を購入するなら刀剣商(刀剣店)がおすすめ

日本刀の高い知識を持つ専門店

刀剣商とは、刀剣・日本刀について高度な知識を持ち、取り扱いを許可されている「古物商」のことです。「刀剣店」や「刀剣ショップ」、「刀屋」などといった呼び方でも知られています。

古物商の標識

日本刀や付随する(こしらえ:外装)などは「古物営業法」における「古物」にあたるため、法律的には店舗が「古物商許可証」を取得していることは必須。

「古物営業法」は、窃盗などの犯罪被害品が古物として流通してしまうのを防ぎ、被害品をすみやかに発見して、犯罪被害の拡大を防止することを目的としています。

古物商許可証を取得している店舗であれば、刀剣・日本刀の専門店ではない骨董店 などでも刀剣販売・刀剣買取は可能です。しかし専門店以外の古物商では、専門知識を持つスタッフがいないことが多く、正確な価値が分からないまま値段を設定している場合や、有名な刀工の(めい)を別人の作品に切った「偽銘」(ぎめい)を見抜けず本物として販売している場合もあるため、注意が必要となります。

そのような心配がなく、安心して日本刀を購入したいという方には、「全国刀剣商業協同組合」に加盟している刀剣商(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)がおすすめです。なかでも「刀剣評価鑑定士」を擁する店舗なら、より専門的なアドバイスを得ることができ、心強いでしょう。

刀剣評価鑑定士の認定証

「刀剣評価鑑定士」は、「全国刀剣商業協同組合」が創設した民間資格です。この資格を得るためには、古物商許可証を取得してから5年以上が経過していることなど、いくつかの条件をクリアした上で試験に合格しなければなりません。

厳しい試験を通った日本刀の専門家であるからこそ、「刀剣評価鑑定士」に安心して相談できるのです。

骨董店と刀剣専門店が扱う商品の違い

古物商(古物商許可証)
骨董店
  • 古美術品
  • 古道具
  • 骨董(書画骨董)
  • 古物全般
刀剣専門店
  • 日本刀
  • 甲冑(鎧兜)
  • 拵(こしらえ)
  • 鍔(つば)
  • 鎺(はばき)
  • 小柄(こづか)
  • 柄(つか)
  • 鞘(さや)
  • 目貫(めぬき)
  • 笄(こうがい)

何でも気軽に相談できる

刀剣商を訪れるのは、ややハードルが高いというイメージがあるかもしれません。
日本刀の値段は、「脇差」(わきざし)や「短刀」の最も手頃な作品が数万円。「太刀」(たち)や「打刀」(うちがたな:刀のこと)なら、安価な作品でも数十万~数百万円であり、決して気軽な買い物ではないからです。

また、知識に自信がないからと遠慮してしまう場合もあるでしょう。

しかし、ご心配は無用です。はじめて訪れる方も日本刀についてはまだよく知らないという方も、刀剣商では歓迎してくれます。
もちろん買わずに観るだけでも、買う予定がなくても構いません。
刀剣商の方は、刀剣・日本刀の文化を大切に思い、次の世代へ継承していきたいと考えています。だからこそ、新たに日本刀に興味を持つ方が増え、お店に足を運んでもらえるのは非常に喜ばしいことなのです。

むしろ、来店したその日に購入を勧める刀剣商はなく、購入するつもりで訪れた方に対しても、日を置いてよく考えてから決めるように助言してくれます。

さらに、ほとんどの刀剣商では真剣の現物を鑑賞するだけでなく、手に持ってじっくりと眺めることもできるので、希望してみましょう。お店の方が刀剣を持つときのマナーや注意点もレクチャーしてくれるため安心です。日本刀を購入する際は、ほしい刀剣の種類やこだわりたいポイント、予算などを伝えて、心行くまで相談することが重要。疑問点などは残さず、納得して購入するようにしましょう。

刀剣商(刀剣店)が扱っている商品

刀剣商では、刀剣の専門店ならではの様々な種類の刀剣や日本刀が豊富に揃っているのもメリットのひとつ。さらに、日本刀の外装である「刀装具」も多くの店舗で販売され、例えば、(つば)だけを個別に購入することもできます。甲冑(鎧兜)を置いている店舗もあり、鑑賞しながらお店の方と会話をするだけでも楽しめることは間違いありません。

ほとんどの刀剣商で扱っている商品は下記の通りです。

刀剣販売・日本刀販売で扱う刀剣・日本刀の種類(例)

刀剣販売・日本刀販売で扱う刀装具(例)

店頭以外の販売方法「出張販売」・「通信販売」

刀剣商での刀剣販売・日本刀販売の方法は、前記のように購入希望者が店舗を訪れる一般的な「店頭販売」の他に、刀剣商の方が訪ねてくれる「出張販売」と、メールやインターネットを利用する「通信販売」があります。

出張販売と通信販売とは、どのような販売方法でしょうか。メリット・デメリットも併せて見ていきましょう。

出張販売

「出張販売」は、刀剣商のスタッフが購入希望者の自宅などへ商品を持ってきてくれる販売スタイルです。刀剣商の店舗へ出向かなくても購入できる方法ですが、これは長年その刀剣商と懇意にしている、お得意様向けと言えます。

また、出張販売は行っていない刀剣商もありますので、希望する方はあらかじめ店舗の方へ問合せてみましょう。

通信販売

通信販売の商品ページ

地元に刀剣商がない、店舗へ足を運ぶのが難しいと言う方にとって、最も利用しやすいのは「通信販売」です。

現在、インターネット上に通販サイトを公開している刀剣商は多く、購入希望者は掲載されている刀剣・日本刀の画像や解説文を見て、好みの1振を選ぶことができます。家にいながらにしてたくさんの商品を見比べることができるのは、通信販売の大きなメリット。実際に店舗を訪ねようと考えている方も、事前に通販サイトを見てどのような商品があるのかを調べ、おおよその値段を知っておくのも良いでしょう。

また、刀剣商によっては実店舗がなく、通信販売専門というお店もあります。そうしたお店では、実店舗を運営する経費が節約できるため、その分商品の値段を割安に設定している場合もあるので、要チェックです。

一方、通信販売では刀剣・日本刀の実物を観ることができません。細かな傷や錆の状態、手に持ったときの感覚などは画像だけでは分からないため、商品が届くまでは確かめることができないという不安な一面もあります。
事前にお店の方と電話やメールで連絡を取り、返品が可能かどうか確認することも重要です。さらに、輸送中にトラブルがあった場合などの対応についても聞いておきましょう。不安な点は解消してから購入することをおすすめします。

3つの販売方法

全国の刀剣商(刀剣買取・販売店)リンク
日本全国の刀剣商(刀剣買取・販売店)リンクを一覧でご覧頂けます。

日本刀の所持には必須の「銃砲刀剣類登録証」

日本刀購入後はすみやかに所有者変更手続を

銃砲刀剣類登録証

銃砲刀剣類登録証

刀剣・日本刀には必ず「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が付いています。登録証がない場合は「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)違反となるため、日本刀の所持はできません。

刀剣販売の専門店である刀剣商で販売されている日本刀には銃砲刀剣類登録証が付属していますので、購入したその日から許可を得たことになります。

ただし、購入日から20日以内に登録証の所有者変更手続を行うことが必要です。登録証に記載されている都道府県の教育委員会へ、所有者変更届出書を持参するか郵送します。届出用紙は、ほとんどの刀剣商に用意されていますので、相談してみましょう。

銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧
刀剣類の購入(所持)や譲渡・相続の際には、名義変更届を教育委員会に提出します。お住まいの地域からお探し下さい。

登録証のない商品があれば要注意

真剣とされているにもかかわらず、銃砲刀剣類登録証の付いていない商品があった場合は、決して購入しないで下さい。登録証のない刀剣・日本刀を所持するのは法律違反となります。専門の刀剣商ではまず考えられないことですが、ネットオークションなどで個人の方から購入する場合は細心の注意が必要です。

また、登録証がない商品は、真剣ではなく「模造刀」(もぞうとう:亜鉛合金やアルミ合金を素材とする刃のない物)などのレプリカの可能性があります。優れた模造刀は、初心者の方が一見しただけでは真剣と区別が付きにくいため、刀剣・日本刀を購入する際には必ず登録証を確認しましょう。

なお、模造刀として正規に販売されている商品については、銃砲刀剣類登録証は不要。取り扱いに注意すれば、手軽に購入することができます。日本刀への第一歩として楽しんでみてはいかがでしょうか。

刀剣商(刀剣店)での刀剣買取・日本刀買取

刀剣販売・日本刀販売を専門とする刀剣商では、刀剣・日本刀、刀装具の買取も行っています。「以前手に入れた刀を売って、さらに良い1振を購入したい」と言う愛刀家の方は多いのではないでしょうか。また、初心者の方なら、「家から刀が出てきたが、自分では保存できないので手放したい」と言う場合もあるかもしれません。

そんなときは刀剣商に相談するのがおすすめです。日本刀の専門家である刀剣商の方が、丁寧に査定をして値段を付けてくれます。刀剣買取・日本刀買取の値段は、購入するときの値段より低めになることがほとんどですが、これは買い取った日本刀を研ぎに出すなど、新たに販売するための手入れに経費がかかるためです。

刀剣買取・日本刀買取には、「店頭買取」(持込買取)、「出張買取」、「宅配買取」、「オンライン査定」があります。いずれの場合も、事前に刀剣商へ電話などで連絡を入れ、予約を取りましょう。

買取の査定は複数の刀剣商へ依頼しても構いませんので、査定の内容や値段に最も納得できる刀剣商へ依頼するようにします。

3つの買取方法とオンライン査定

店頭(持込)買取

はじめに刀剣商へ連絡して、買取希望であることと、売却したい刀剣・日本刀や外装の状態を伝えて下さい。刀剣商の方から画像を送ってもらいたいと言われたときは、お手持ちのスマートフォンやデジタルカメラで日本刀や外装の全体と細かな部分までよく見えるように撮影し、画像データをメールかLINEで送ります。

そして、査定・買取の方向で話がまとまったら、予約した日時に刀剣商へ出向きますが、このとき注意したいのが日本刀の持ち運び方です。刀剣・日本刀は、鞘に収めてあったとしても、そのまま持ち歩くことはできません。必ず専用の刀袋か、アタッシュケース、ゴルフバッグなどに入れ、日本刀であることが分からないように梱包します。まわりの人々に無用な心配をかけないよう慎重に運ぶ必要があるのです。また、その日本刀に付随する銃砲刀剣類登録証も必ず一緒に携帯します。

査定・買取では、刀剣商の方が直接現物を見て行うのが基本。日本刀の出来栄えや、わずかな錆や傷、あるいはこれまでに施された研ぎの状態などは画像を見ただけでは正確に分からないからです。

店頭へ持ち込んでの査定・買取なら、お店の方から詳しい説明を受けることができ、さらに疑問に思ったことをすぐに聞くことができるのも大きなメリット。この機会に、査定のポイントなど何でも質問してみましょう。

出張買取

売却したい刀剣・日本刀がたくさんあり、とても運べないという場合や、甲冑(鎧兜)や鐙(あぶみ)なども買い取ってもらいたい、あるいは引越しのため急いで処分したいなど、店頭への持ち込みが難しい場合は、「出張買取」がおすすめです。

刀剣商の方が約束した日に自宅など指定の場所を訪れ、その場で査定をしてくれます。多数の品物を一度に査定してもらうことができ、ひとつひとつ直接説明を聞くことができるという利点は店頭(持込)買取と同じです。売買が成立すれば、品物を運び出してもらえるので、売却希望者は手間がかかりません。

宅配買取

「お店まで遠くて行けないけれど、売りたい刀は1振だけ」。そんな方におすすめしたいのは「宅配買取」です。刀剣商へ連絡する際に宅配買取を希望することを伝えると、梱包・発送の方法を教えてもらえます。

宅配キット

刀剣商によっては、梱包用の段ボール箱や緩衝材、送り状、申込書類がセットになった宅配キットを先に送ってくれるところもあるので利用しましょう。

配送の途中で破損しないよう丁寧に梱包し、送り状の品名には「工芸品」、「木工品」などと記入。品名を「刀剣類」とすると宅配便では送れない場合があるため、この点についても刀剣商に確認しておきます。

品物が到着すると刀剣商の方が査定し、買取価格を決定。査定内容と買取価格を連絡してもらい、納得できれば売買成立です。代金は指定口座へ振り込まれます。もし査定結果に納得できなければ、買取依頼を取り下げても構いません。その場合、通常は着払いで品物が返送されます。

オンライン査定

「買取依頼をする前に、写真だけで大まかに見てもらいたい」という希望のある方は、「オンライン査定」に対応してくれる刀剣商へ相談してみましょう。

オンライン査定に必要な画像も、一定以上の解像度があればスマートフォンやデジタルカメラの撮影で十分です。刀身、茎(なかご)、そして、鍔、鞘などの外装の全体をいろいろな角度から撮影。さらに各部分の細部まで見えるように撮っていきます。なお、撮影時にはケガをしないよう真剣の取り扱いには十分に注意して下さい。

また、日本刀に付随する銃砲刀剣類登録証と、付いていれば「鑑定書」は、文字が鮮明に読める大きさの画像を用意します。

撮影した画像は、メールかLINEに添付して刀剣商へ送りましょう。お店のホームページに「オンライン査定フォーム」が掲載されている場合は、必要事項を入力し、画像を添付して送信します。

オンライン査定による結果は、あくまで画像によって判断された概算額(目安)です。その査定価格に納得できて、売却すると決めた場合は、店頭(持込)買取・出張買取・宅配買取のいずれかを選択。刀剣商によって現物の確認が行われたのち、買取価格が確定します。

全国の刀剣買取・日本刀買取全国の刀剣買取・日本刀買取
全国の刀剣買取・日本刀買取では、お住まいの地域で刀剣買取・日本刀買取を行っている刀剣商(刀剣店)が検索できます。

刀剣・日本刀の生前整理について

「自分は愛刀家だが、子どもや孫は日本刀に興味がない」、「日本刀を残しておくと家族が困るのではないか」。そんな心配のある方も、刀剣商へ相談するのがベストです。現代では、「終活」(しゅうかつ)という言葉もあり、元気なうちに人生の最期を迎えるための準備をしておく方も増えています。刀剣・日本刀の相続についても例外ではありません。

資産・遺産を受け継ぐことになった相続人の方が日本刀好きでない場合、取り扱い方法が分からず、処分してしまうかもしれません。警察署へ連絡して持ち込めば、日本刀を処分してもらうことができますが、この場合には日本刀は圧し折られて破壊されることになります。日本の伝統的な美術品であるその日本刀は完全に失われてしまうのです。そのような事態を避けるためにも、相続前の刀剣・日本刀売却について考慮することをおすすめします。

一方、日本刀のコレクションを家族に残したいという方は、日本刀それぞれに付随している銃砲刀剣類登録証の保管場所を伝えておきましょう。日本刀を相続後に手放す場合の売却方法なども話し合っておくと家族も安心です。

刀剣商のオークション「刀剣専門交換会」

全国の刀剣商(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)では、一堂に会して行われる専門業者のオークションがあり、これが「刀剣専門交換会」です。

東京美術倶楽部

東京美術倶楽部」(東京都港区新橋)により毎月開催されている最大手の「全国美術刀剣会」が最もよく知られています。

専門業者間で行われるこれらの刀剣専門交換会には古物商許可証がなければ参加できません。一般の方は参加できないため、交換会を通して刀剣・日本刀を購入したい方や、出品したいという方は、参加する刀剣商に委託して購入、または売却することになります。

掘り出し物の名刀が出品される可能性もある刀剣専門交換会。興味のある方はぜひ刀剣商に相談してみましょう。

お手入れ相談や研磨の依頼もできる

刀剣商の役目は、刀剣販売と買取だけではありません。日本刀購入後のお手入れ方法や研磨にかかわる相談にも応じてくれます。

刀剣・日本刀は正しく保管しなければ刀身に錆が浮くことがあるため、刀剣商のスタッフに保管方法や、お手入れ方法をレクチャーしてもらいましょう。お手入れ用品は店舗に置いてありますので、日本刀購入時に一緒に買っておくようおすすめします。

もし、お手入れの際に刀身に錆が浮いているのを見付けても、購入者の方が自分自身で磨くのは厳禁です。刀剣商を通して、研磨の専門家である「研師」(研磨師)の方に依頼するようにしましょう。研師ではない方の手が加えられると、日本刀それ自体の価値を下げてしまうことになるからです。

正しいお手入れや研磨によって日本刀本来の美しさを保ち、後世へ受け継いでいくことは、刀剣商と愛刀家にとって共通の願いでもあります。