刀剣の豆知識

刀剣の購入

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刀身自体の美しさや、日本独自の製法が高く評価されている日本刀。歴史的にも貴重な美術品であり文化財でもある刀剣・日本刀は、特別な資格がなくても購入することができます。そんな刀剣・日本刀は、どこで購入するのが良いのでしょうか。また、値段の相場は?ここでは初心者の方向けに、購入する際の注意点や、あらかじめ決めておくことなど、「刀剣の購入」についてまとめました。

事前に決めておきたいこと

用意できる金額を決める

刀剣・日本刀を購入する際は、まずは予算を決めておきましょう。日本刀は決して安価な買い物ではなく、有名刀工が手掛けた「太刀」(たち)や「打刀」(うちがたな:刀のこと)なら数百万~10,000,000円以上となります。一方、手頃な「脇差」や「短刀」もあり、数万~数十万円で購入できる場合もあります。あくまで無理のない範囲で購入するのが日本刀ファンの楽しみ方です。

希望に合った日本刀を知る

購入を希望する方は、どのような刀剣・日本刀を手元に置きたいと考えているでしょうか。刀工や、作刀された時代にこだわりたい、あるいは「守り刀がほしい」など希望がある場合は、日本刀を選ぶときにお店の方へ伝えるようにします。

日本刀を飾る場所を決めておく

日本刀を床の間に飾る

日本刀を床の間に飾る

刀剣・日本刀を自宅で飾る場合、通常は刀身の入っていない(こしらえ:鞘、柄、鍔などの外装)だけを「刀掛け」に置くのが一般的です。刀身は白鞘(しらさや:刀身の長期保管に適した木製の鞘)に入れ、さらに「刀袋」などに収めて保管します。

日本刀を購入する前には、拵を飾るスペースと、白鞘に入れた刀身を保管できる場所を確保しておきましょう。刀身は日光が当たらず、湿気の溜まらない「刀箪笥」(かたなだんす)へ収納するのが最適。湿気の多い押し入れの奥にしまうのは厳禁です。

刀剣購入は専門店である刀剣商で!

現代では、ネットオークションなどでも気軽に刀剣・日本刀を買うことができますが、初心者の方なら、「刀剣商」へ実際に足を運んでみることをおすすめします。

刀剣商は、「刀剣店」や「刀剣ショップ」、「刀屋」とも呼ばれ、日本刀について高い専門知識を持ち、取り扱いの許可を得ている「古物商」のことです。では、刀剣商での刀剣購入にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

初心者の方も歓迎してもらえる

刀剣商の店内

刀剣商の店内

刀剣商は専門店であるがゆえに、はじめて店舗を訪れる方には、少し入りにくいと感じられるかもしれません。しかし遠慮は無用です。刀剣商では、初心者の方や知識に自信がないと言う方も歓迎しています。

買う予定がなく、観るためだけに訪ねたいと言う方も大丈夫です。店内には、刀剣・日本刀をはじめ、刀装具や甲冑(鎧兜)なども揃っているので、これらを鑑賞しながらお店の方と話してみてはいかがでしょうか。

刀剣談議に花を咲かせるのも楽しいものです。そして自分自身の希望や好み、予算を伝え、お店の方から希望に沿った作品を紹介してもらいましょう。

専門店としての信頼がある

刀剣評価鑑定士の認定証

刀剣評価鑑定士の認定証

刀剣・日本刀の正確な価値を判断することや、贋作にあたる「偽銘」(ぎめい:有名な刀工の名を別人の作品に切った銘)を見抜くことは刀剣・日本刀の専門スタッフがいない一般の骨董店などでは難しいと言われています。

その点、取り揃えられた刀剣・日本刀の品質に信頼があり、最も安心して購入できるのが、「全国刀剣商業協同組合」に加盟している刀剣商です。全国刀剣商業協同組合は、全国の刀剣商によって組織された団体で、刀剣・日本刀の専門家であることを証明する民間資格「刀剣評価鑑定士」を創設しました。

刀剣評価鑑定士の資格を取得するためには、厳しい基準をクリアした上で資格試験に合格しなければなりません。この刀剣評価鑑定士を擁する店舗なら、価値の低い作品をすすめられたり、贋作を紹介されたりする心配がないのはもちろん、日本刀それぞれの特徴や伝来、価値について、より詳しく聞くことができるので頼りになります。

実物を手に取って鑑賞できる

ほとんどの刀剣商では、真剣である刀剣・日本刀をケースの外から眺めるだけでなく、手に持ってじっくり鑑賞することもできるので希望してみましょう。手応えのある重さや質感、手の平にふれる(なかご)の感触などは手にして初めて実感できる特徴です。

刀剣・日本刀を持つ際のマナーや注意点は、お店の方がしっかりレクチャーしてくれるので心配はありません。手に持ってみると、ますますほしくなってしまう日本刀ですが、刀剣商では来店したその日に購入を勧めることはなく、良く考えてから決めるようにアドバイスしてくれます。

遠方から訪れた方など、もう一度来店するのが難しい場合は、宅配を利用することも可能ですので相談してみましょう。疑問点などは残さないよう何でも相談して、納得できたら購入するのがベストです。

店頭以外での購入方法

刀剣商の実店舗へ足を運ぶのが良いとは言うものの、地元に刀剣商がない、仕事などで営業時間中に訪ねるのが難しいといった方には、「通信販売」や「カタログ販売」が利用できます。この他に、刀剣商のスタッフが自宅などへ商品を持ってきてくれる「出張販売」が可能な店舗もありますが、これは長年その刀剣商と取引のあるお得意様向けと言える販売方法ですので、初心者の方にはおすすめできません。

ネットで購入ができる通信販売

通信販売の商品ページ

通信販売の商品ページ

現在、刀剣商の多くがインターネット上に通販サイトを公開しています。刀剣・日本刀の購入を希望する方は、掲載されている数多くの商品を見比べながら好みの1振を選ぶことができ、たいへんに便利です。

一方、通信販売では実物を直接観ることができないため、細かな傷や錆の有無など刀身の状態は、商品が手元に届くまで確認できないというデメリットも。事前にメールや電話で刀剣商の方と連絡を取り、返品が可能かどうかや、輸送中にトラブルが起こった場合の対処法などを確認しておくと良いでしょう。

カタログで選んで購入

刀剣商のなかには、取り扱い商品をカタログに載せて発行しているお店もあり、公式サイトなどから申込めば送ってもらえます。カタログは有料の場合もありますので確認しましょう。また、印刷されたカタログの場合、店頭販売との間にタイムラグが生じてしまうため、一点物である日本刀や刀装具はカタログにはあるものの、店頭ではすでに売却済みということもあるため注意が必要です。

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刀剣・日本刀の値段・相場とは

刀剣・日本刀は美術品ですので、定価というものはありません。では、値段はどのように決められるのでしょうか。日本刀の値段にも相場があり、これは刀剣の種類や作刀者である刀工のランク、刀身自体の状態、時代ごとの流行や人気の高さなど、様々な要因で決められています。

最も高価な刀剣・日本刀は国宝重要文化財に指定されている作品で、取引されれば数億の値段が付くこともあるほどです。しかし、国宝や重要文化財の日本刀が市場に出ることは通常ではありません。この章では、一般的に愛刀家や刀剣ファンが購入できる刀剣・日本刀の値段・相場について述べていきます。

値段・相場の目安となる鑑定書

様々な要因のなかでも、刀剣・日本刀の値段に大きく影響するのが「鑑定書」の種類です。現在、最も信頼性の高い鑑定書は、「公益財団法人 日本美術刀剣保存協会」が発行するもので、刀剣・日本刀は4つのランクに分類されています。それぞれのランクが持つ意味と、値段の目安は下記の通りです。

保存刀剣
値段の相場:100,000~1,000,000円程度。南北朝時代までに作刀された日本刀で、著名な刀工の銘がある作品。または江戸時代までで、銘が真正と認められる1振。無銘でも年代や生産地、刀工の系統が明確な作品で、傷があっても鑑賞に問題のない作品。
特別保存刀剣
値段の相場:300,000~3,000,000円程度。保存刀剣のなかで特に保存状態が良く、出来が優れた作品。美観を損なう傷や錆がある作品は除外。
重要刀剣
値段の相場:1,000,000~5,000,000円程度。特別保存刀剣のなかでも、平安時代から江戸時代に作刀され、さらに優れた出来で、保存状態が良い作品。国が認定する重要美術品に準ずる品質の1振。
特別重要刀剣
値段の相場:5,000,000~10,000,000円以上。重要刀剣のなかで、特別に出来栄えが良く、保存状態が優れ、かつ国が認定する重要美術品の上位ランクと同等の作品。

刃長による刀剣・日本刀の値段・相場

刀剣・日本刀の値段は、刃長を基準とした種類によっても大きく違います。日本刀の種類は、おおむね刃長で区別することができ、一般的には刃長60cm以上で、刃を下にして腰に佩く刀剣が太刀、刃を上にして腰に帯びる刀剣が打刀です。

大小帯刀の小にあたる刃長30~60cmの刀剣は脇差、それより短い刃長30cm以下の刀剣は短刀になります。最も値段が高いのが太刀と打刀。短刀はその半値くらいで、脇差は3割程度が相場です。これはあくまで目安であり、刀剣・日本刀の値段は様々な要素を合わせて総合的に決められるので、単純に刃長が長ければ高価というわけではありません。

しかし、はじめて日本刀を購入すると言う方は、比較的高価な太刀や打刀より、手頃な価格が多い脇差や短刀を選んでみてはいかがでしょうか。

日本刀の種類

日本刀の種類

刀工のランクが値段に影響

著名な刀工が鍛えた名刀に、高額評価が付けられるのを見たことがあると言う方も多いでしょう。刀工の知名度や人気の高さは、刀剣・日本刀の値段に大きな影響を及ぼします。さらに、刀工には明確なランクがあり、そのひとつが日本刀の出来栄えによって格付けされた「位列」(いれつ)です。

位列には、出来の優れた方から「最上作」、「上々作」、「上作」、「中上作」、「中作」の5段階があります。最上作の刀工は、新刀の「長曽祢虎徹」(ながそねこてつ)や、新々刀の「水心子正秀」(すいしんしまさひで)などです。もうひとつ、切れ味が鋭い最強の日本刀を基準とした刀工のランク付けもあります。

これは、江戸時代に幕府の試し斬り役である「御様御用」(おためしごよう)を務めた「山田浅右衛門吉睦」(やまだあさえもんよしむつ)が分類したランクで、「懐宝剣尺」(かいほうけんじゃく)と言う書物にまとめられました。

この書物には、最も切れ味が優れた「最上大業物」から、「大業物」、「良業物」、「業物」、「大業物・良業物・業物混合」まで、評価された刀工が載っています。

ただし、懐宝剣尺に記載されている刀工は、あくまで試し斬りが可能であった日本刀の作刀者に限られており、大名の家宝になっているような名刀は試し斬りができなかったため、その刀工は載っていません。

また、1876年(明治9年)3月18日に発布された「廃刀令」(はいとうれい)以降に作刀された「現代刀」については、特に重要無形文化財保持者(人間国宝)クラスの刀工の作品は評価が高く、2,000,000円を超えることもあります。

刀剣・日本刀の所持には必須の「銃砲刀剣類登録証」

刀剣購入後はすみやかに名義変更を!

銃砲刀剣類登録証

銃砲刀剣類登録証

刀剣・日本刀には必ず「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が付随していなければなりません。登録証がない刀剣類は、「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)違反となり、購入することも、所持することもできないのです。

刀剣商(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)で販売されている刀剣・日本刀には銃砲刀剣類登録証が付いていますので、購入した方はその日から許可を得たと見なされます。

刀剣購入後は、すみやかに登録証の所有者変更手続を行って下さい。購入した日から20日以内に、該当する刀剣・日本刀を登録した都道府県の教育委員会等へ届け出ます。届出用紙は、ほとんどの刀剣商に用意されていますので相談してみましょう。

また、各都道府県にある教育委員会のホームページからダウンロードすることもできます。銃砲刀剣類登録証の内容を正確に転記し、登録証のコピーを添えて、ホームページに記載されている届出先まで郵送して下さい。都道府県によっては、電子申請・届出システムが利用できるところもありますので、ホームページで確認しましょう。

銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧
刀剣類の購入(所持)や譲渡・相続の際には、名義変更届を教育委員会に提出します。お住まいの地域からお探し下さい。

銃砲刀剣類登録証のない刀剣類は買わない

万が一、銃砲刀剣類登録証なしで販売されている刀剣・日本刀があれば、法律違反ですので絶対に購入しないで下さい。特に、専門の刀剣商ではないネットオークションなどで個人の方から購入する場合は注意が必要です。

また、登録証のない商品は、真剣とされていても実際には「模造刀」(もぞうとう:アルミ合金や亜鉛合金などを材料とした刃のない物)などのレプリカである可能性があります。出来の良い模造刀は、一見しただけでは真剣と区別が付きません。模造刀の場合、登録証がなくても所持するのに問題はありませんが、真剣の日本刀が数十万~数百万円の価値があるのに対して、模造刀は数万円ほど。真剣と思って購入すると大きく損をしてしまうのです。

なお、模造刀として正規に販売されている商品については、前述の通り銃砲刀剣類登録証は不要。真剣を買う前の入門編として購入し、部屋に飾って楽しむのもおすすめです。

購入した刀剣・日本刀の持ち運び方

購入した刀剣・日本刀をさっそく持ち帰りたいと希望する方は、持ち運びに際して細心の注意を払う必要があります。自分で買った日本刀を持ち帰ることは、銃砲刀剣類所持等取締法で正当な理由として携行が認められていますが、鞘に収めた状態であったとしても、日本刀をそのまま持ち歩くことはできません。

日本刀は鞘に収めた上で、専用の刀袋や風呂敷、ゴルフバッグ、ジュラルミンケースなどに入れて、まわりから刀剣類を持っているとは分からないようにします。公共の場所で刀剣類を持っていることが分かると、周囲の人々に無用な恐怖心を抱かせてしまうことになるからです。さらに、銃砲刀剣類登録証の原本も必ず一緒に携行して下さい。

また、刃のない模造刀であっても、運び方については真剣と同じ規定が適用されますので、注意しましょう。刀剣・日本刀を購入する予定で刀剣商を訪れる方は、購入後に持ち帰るためのバッグ等を用意して行くと帰りに困らず便利です。

お手入れや買取の相談も刀剣商へ

刀剣・日本刀を購入するときは、お手入れ方法や研磨についても刀剣商の方に聞いておきましょう。お手入れ用品は刀剣商に揃っていますので、刀剣購入時に一緒に買っておくようおすすめします。

もし、お手入れの際に刀身に錆が生じているのを見つけたら? その場合は刀剣商を通して、「研師」(研磨師)の方に依頼するのがベストです。自分の手で磨くのは厳禁。研磨の専門家である研師の方が正しく研いでこそ日本刀の価値が保たれるのです。

また、「今持っている刀を売って、よりグレードの高い1振を購入したい」といった理由で手放すときも、刀剣商へ相談を。お手持ちの刀剣・日本刀を査定した上で買い取り、新たに購入する日本刀についてアドバイスをしてもらえます。

購入者の方と刀剣商が連携することで、刀剣・日本刀は市場に流通し、日本の伝統文化として末永く受け継がれていくのです。

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