模造刀

模造刀とは

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模造刀(もぞうとう)とは、非鉄金属の合金を素材とし、日本刀の姿を模して制作された物のこと。真剣よりも安価で扱いやすく、有名な武将の佩刀を模した物も多いことから、多くの模造刀が市場に流通し、日本刀ファンや刀剣女子の関心を集めています。
鑑賞用や、居合道に扱われる模造刀は、真剣とは異なった趣の独自の世界観が魅力です。

模造刀とは

模造刀

模造刀

模造刀とは、真剣を制作する際に使われる鉄と鋼以外の金属を用いて、日本刀の姿を模して制作された道具のことです。

模造刀にはプラスチックや木で作られた物もありますが、これは少数派であり、模造刀の一般的な素材は銅、亜鉛合金、アルミニウムなどの合金類。

模造刀は制作時に、日本刀を作る際に使用される材料や技法が使われず、刃が付けられていない物であると定義されています。なお、模造刀に関しての定義が確立されたのは、1958年(昭和33年)に「銃砲刀剣類所持等取締法」が施行されて以降のこと。

銃砲刀剣類所持等取締法は、一般的には銃刀法として知られ、日本刀を含む刀剣や銃などの所持を制限する法律です。模造刀は刃が潰されていることから、所有は誰でもできるとされる一方、形状が日本刀と酷似していることから、業務など正当な理由がない場合の模造刀の携帯は、禁じられるようになりました。

模造刀の用途

模造刀は用途別によって、模擬刀(もぎとう)、美術刀、居合刀の3種類に分けられます。

一般的に模造刀と呼ばれる物は、その形態こそ日本刀に酷似していますが、日本刀本来の目的である武器とは異なる用途で使われる物です。もっとも分かりやすい模造刀の用途として、刀架(とうか:日本刀をかけておく用具)にかけて床の間に飾るなどが挙げられます。

模擬刀による稽古

模擬刀による稽古

模擬刀、美術刀、居合刀と呼ばれる物は、広義では模造刀に括られるものの、それぞれの用途に合わせて名付けられた物です。

模造刀のなかでも、模擬刀と呼ばれる物は、武道の稽古や演武などで使われる模造刀を差します。稽古や演武で扱う際、模造刀であっても真剣に見立てているため、一般的に言う模造刀とは一線を画しているのです。

武道の稽古や演武をしている際、誰ひとりとして「自分が手にしているのは模造刀」とは考えていません。つまり、模造刀が日本刀に似せて造られているだけなのに対し、模擬刀は「日本刀に見立てる」という目的を有しています。

また、使う前提があるかないかという違いがあるため、武道の稽古・演武で使われる模造刀は、模擬刀と呼んで区別されているのです。

同じく、揮うための模造刀として居合刀がありますが、この居合刀は日本の武道「居合道」(いあいどう)の稽古・演武で扱われる模造刀のこと。

これはかつて、「抜刀術」と呼ばれた武術が進化・発展して誕生した現代武道のことを指します。居合道とは、刀を抜き放つ際の初撃を極めた剣術とされ、日本刀をに収めた状態で敵と対峙し、抜刀しざまに相手を倒す剣技が最大の特徴です。

なお、居合刀のなかにも、練習用の居合練習刀、演武用の居合刀、高級居合刀の3階級存在。これらの居合刀を用途によって使い分け、現在でも多くの剣士が心と技の精進に勤しんでいます。

一方、美術刀と呼ばれる模造刀は、日本刀の美術品的側面を強調して再現した模造刀のこと。揮うためではなく、鑑賞することを目的として制作されました。鑑賞を目的とする模造刀のなかには、合金製の物のみならず、木製の模造刀も存在。

木製の場合、天然木を薄く削って刀身とし、その上から銀メッキなどを塗り、姿を整え、鮫皮などの豪華な(こしらえ)を附帯させ、その拵ごと鑑賞するのです。

模造刀の種類

模造刀は用途別で呼び名が変わりますが、このうち、単に日本刀を再現した物と、有名武将の佩刀や、天下五剣などの名刀を再現した物の2種類が存在。

名刀を模した模造刀は、対象の特徴を再現するための技術を擁するため、単に日本刀を再現した模造刀よりも高級な模造刀となります。

そのなかでも「高級模造刀」と呼ばれる物は、名刀を再現した物のうち、仕上がりの良さに特別な留意と技術を擁した品物を指しているのです。

「天下五剣とは」をはじめ、日本刀に関する基礎知識をご紹介します。

模造刀の制作

模造刀の制作

模造刀の制作

日本刀を模した物が模造刀ですが、真剣と模造刀では素材・制作工程がまったく異なります。日本刀は鉄と鋼を素材とし、刀鍛冶が鍛錬と焼き入れを行ない、研師が切れる状態に仕上げた物。

それに対して模造刀は、亜鉛、アルミニウム、銅などの合金類を素材とし、グラインダーを使って特殊研磨した刀身に、メッキを施した物です。なお、刃文は人工的に施されており、刃が付いていないので「切る」という機能はありません。

そのなかでも、鑑賞目的で制作される美術刀は、刀身の美しさを際立たせるため、特別にアルミダイキャストという特殊合金が使われることもあります。

これは亜鉛合金やアルミ合金を溶かして金型に流し込んで作られた合金であり、鋳肌が綺麗できめ細かい点が特徴です。対して居合刀は、練習刀を含めて、居合道の稽古・演武をするのに特化された模造刀であるため、観賞用の模造刀とは違い、扱うための強度が必要。そのため、居合刀の制作には亜鉛合金を素材とし、溶かした金属を砂素材の型に流し込み、自然の重力によって時間をかけて刀身を製造する方法「砂型鋳造法」(すながたちゅうぞうほう)が用られます。

これにより刀身内の空気の排出が促されて刀身の密度が高まり、通常の模造刀よりも強度が強く安全性の高い製品ができあがるのです。

模造刀の入手法

現在模造刀は、全国の刀剣商などで販売されていますが、インターネット通販などでも入手が可能。扱いが難しく、所持をするのに登録が必要な日本刀とは違い、模造刀は土産物屋などでも気軽に購入できるため、日本刀ファンや刀剣女子の人気を集めています。また、日本刀が特集されている歴史関係の雑誌や書籍の巻末に模造刀が紹介されていることも多いため、チェックしてみましょう。

鑑賞用としてではなく、使うことが前提となる模擬刀や居合刀は、刀剣専門店で購入するよりも、使い勝手の良さという点で勝る武道具専門店で購入するのがおすすめ。インターネット通販でも購入が可能ですが、扱うことが前提である模擬刀は、重さや長さ等、自身の手で使用感を確かめてから購入するのが良いでしょう。

また、ほとんどの居合刀には砂型鋳造法と明記されているため、分かりやすい判断基準となります。

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