刀剣を所持・携帯するときの注意点 - 名古屋刀剣ワールド
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そして、熱心なファンの方であればあるほど、自ら刀剣を所持してみたいと考えるのではないでしょうか。そこで、はじめて刀剣・日本刀を所持する方のために注意点や、必ず行わなければならないことなどをご紹介していきます。
刀剣を所持するために必要なこと
はじめに「銃砲刀剣類登録証」を確認
刀剣・日本刀を入手するには、どのような方法があるでしょうか。
- 刀剣販売の専門店である「刀剣商」(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)で購入
- 祖父母などが所持していた物を相続
- 知人などからの譲渡
- ネットオークションでの購入
この他、思いがけず家から刀剣が発見される場合もあります。
登録証がある場合は名義変更の手続へ
正規の「刀剣商」(刀剣店・刀剣ショップ・刀屋)で購入した場合や、相続・譲渡によって入手し、銃砲刀剣類登録証が手元にあるときは、すみやかに所有者変更手続(名義変更)を行います。
取得後20日以内に登録証に記載されている都道府県の教育委員会へ「所有者変更届出書」(届出用紙)を郵送、または持参して提出して下さい。届出用紙はどの刀剣商にも用意がありますので、購入時に入手しておくか、購入していない場合も相談してみると良いでしょう。また、所有者変更届出書は各都道府県のホームページからダウンロードすることもできます。
届出用紙には登録証の内容を間違えないように転記し、登録証のコピーを添えます。届出先は各都道府県のホームページに記載されている他、電子申請・届出システムでの手続が可能な場合もありますので利用しましょう。手数料は無料です。
届出受理の連絡はないため、受理されたことを書面で残したい方は返信用封筒に切手を貼り、宛名を記入して届出用紙に同封すると変更受理通知を送ってもらえます。
登録証がないときは新規登録手続が必要
「納戸の奥にしまわれていた日本刀が出てきたけれど、登録証が見当たらない」。そんな場合はどう対処すれば良いのでしょうか。
刀剣・日本刀は見つかった場所から移動させず、まず最寄りの警察署の生活安全課へ連絡して下さい。その際、担当部署から刀剣の取り扱いについて指示がありますので従いましょう。必要な手続についても詳しく聞いておくことをおすすめします。
その後、警察署へ発見した刀剣と印鑑を持参し、「銃砲刀剣類等発見届」を提出。発見したときの状況を尋ねられるので説明しやすいよう写真を撮っておきましょう。確認が終わると、警察署から「発見届出済書」(発見届)が交付されます。発見届があれば、登録証がなくても違法にはなりませんので安心です。
次に、所轄の教育委員会で登録申請の手続を行います。警察署から教育委員会へ通知してくれる場合もありますが、特に案内がないときは「発見届出済書」が交付されたことを自身で教育委員会へ連絡して下さい。
申請には下記の3点が必要です。
- 警察署発行の「発見届出済書」
- 1件あたり6,300円の手数料
(都道府県によっては収入証紙:収入証紙は地方自治体が条例に基づいて発行する金券の一種で、自治体に対して手数料・使用料などを納付するための証票) - 本人確認できる物(運転免許証、健康保険証など)
申請を済ませると、「銃砲刀剣類登録審査会」(登録審査会)のお知らせが届きますので、そこに記載された日時に、指定の場所へ登録を希望する刀剣と、「発見届出済書」を持って参加します。

登録審査会
登録審査会の開催は、おおむね1~2ヵ月に1度です。
登録審査会では、文化庁から委嘱された登録審査員がその刀剣の姿や出来などを多角的にチェックし、美術品としての所持にふさわしいかどうかを審査。
認められればその場で「銃砲刀剣類登録証」が交付されます。
登録証が発行されない刀剣とは
日本古来の製法によって鍛錬し、焼き入れを施した刀剣でなければ登録証は発行されません。「第2次世界大戦」の最中に機械によって大量生産された「昭和刀」や、「南満州鉄道株式会社」が開発した鋼を素材とする「満鉄刀」(まんてつとう)、日本以外の国で作られた剣などが登録証が発行されない刀剣に該当します。
また、火災で焼けてしまった刀剣や、刃文のない物なども登録証が発行されないため、所持することはできません。警察で処分してもらうことになりますが、希望すれば刀身以外の拵(こしらえ:刀剣の外装)は返却してもらえます。
登録証を紛失した場合は再交付を
銃砲刀剣類登録証をなくしてしまったときや、汚したり、損傷したりしたときは再交付の手続をしましょう。
登録証に記載されている都道府県が分かる場合はその都道府県の教育委員会へ、分からない場合は最寄りの教員委員会へ連絡します。都道府県によって手続方法が異なる場合がありますので、案内をよく聞くようにして下さい。
再交付には、改めて登録審査会を受審する必要があります。再交付の手数料は1件につき3,500円です(都道府県によっては収入証紙。手数料についても確認を)。
銃砲刀剣類登録証の大きさは、登録制度が始まった1951年(昭和26年)当時は約10.5×7.4cmのA7サイズ、1980年代前半(昭和50年代後半)から現在は約12.8×9.1cmのB7サイズで、大きくはないため紛失には注意しましょう。現在の登録証はラミネート加工され、破損しにくくなっています。
引越したときは住所変更届出手続が必要
刀剣を携帯する場合の注意点
正当な理由がなければ持ち運びはできない
「銃砲刀剣類所持等取締法」では、刃長が6cmを超える刃物(刀剣類)について、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と定められています。
正当な理由とは、刀剣・日本刀を購入・売却する場合、研ぎに出す場合などです。「知り合いに見せたい」、「刀剣を持って写真を撮る」、「護身用として」などは正当な理由にはなりません。決して持ち出しはしないで下さい。
必ず「銃砲刀剣類登録証」を携帯する
正当な理由により持ち運ぶ場合は、必ず銃砲刀剣類登録証を一緒に持っている必要があります。いかなる場合も、刀剣・日本刀と登録証はセットであると考えれば良いでしょう。なお、コピーでは効力がないため原本を持っていて下さい。

ジュラルミンケースに収めた刀剣
また、持ち運びの際は刀剣類を持っているとは分からない状態にしなければなりません。鞘に収めてあったとしても、そのまま持ち歩くのは厳禁です。
公共の場で刀剣類を所持していると分かると、まわりの人々に不安を抱かせてしまうことになるからです。
刀剣類は専用の刀袋や風呂敷、ゴルフバッグ、ジュラルミンケースなどに入れ、すぐに取り出すことができないようにしましょう。
刀剣類を持ち歩くときに登録証を携帯していない、あるいは刀袋やバッグに入れないままの状態にしている場合、銃刀法違反とみなされることになります。