刀を持つことと、推し刀剣
- 小
- 中
- 大
今回は、刀を持つことについて、そして持ってみて私が好きになった刀、「推し刀剣」について書いていきます。
刀のメンテナンス

山田銀河 自宅の前
こんにちは。東建コーポレーションの山田銀河です。自宅の前から失礼します。(この写真、ナンバープレートなどの「ぼかし」は、弊社のアプリ「ピカ写メPhoto」を使って加工しました。とても便利です。)
今日は、ネット通販で買った放送大学の教科書「博物館資料論」、「博物館資料保存論」が届きました。
私は学芸員を目指しているわけではありませんが、業務上美術品を持ち運んだり、実際に触ったりすることも少なくないので、ある程度自分でも勉強しておきたいなと思って博物館資料論などを買いました。
刀をはじめ、1点物である美術品を取り扱うということは、神経を使う作業ではありますがその分得られるものもあると思っています。

白鞘から刀身を抜き出す
日本刀は定期的に手入れをしないと錆びてしまうことを「コラムNo.01:自己紹介」で書いたように、刀剣ワールドでは、所蔵刀を6ヵ月に1回手入れしています。特に、「刀剣コレクション名古屋・丸の内」、「刀剣コレクション桑名・多度」で刀身を白鞘から出して展示している刀については、3ヵ月に1回手入れを行なっています。
刀の手入れができるスタッフは多くありません。そのため、私もお手伝いさせて頂いています。普段はあまり刀の近くに寄ることもありませんが、このときは実際に手に持つことができるので、貴重な業務です。刀を手入れするときは白鞘から刀身を抜き出します。
実物を観ることで分かることがたくさん
刀を実物で観てみると、写真で観る以上にそれぞれの日本刀の個性が分かるような気がします。味わい深いというか、感性に訴えかけてくる物が多いです。

右のほうが身幅が大きい
例えばこの2振。身幅(刀身の幅)を比べると右のほうが大きいのですが、写真で観るとそこまで差が分からないかもしれません。
しかし、実際に持っている私からすると一目瞭然なほどの差があるのです。さらに、展示ケース越しでなく、刀を手で持って観ることで、視覚以外の情報、特に重さがじかに伝わってきます。
ひとりひとりに適した刀の大きさ(刃長と重さ)というのは、だいたいその人の身長から判断できると言われており、そのため、昔の人は自分の身長に合わせて刀を磨り上げたりもしていたと聞きます。あんまり重すぎたり長すぎたりする刀は使いにくいわけです。
身幅や刃長のちょっとした違いで、手から感じる重さは大きく変わってくるので、視覚的にそれほど差がないように思えても、実際は結構違いがあるように感じます。
こういうのは手で持ってみて初めて分かることかなと思います。
鑑賞会で刀を持つ
業務で刀を持つというのは極めて特殊な話ですが、他にも刀を手に持ってみる機会はあります。日本美術刀剣保存協会(日刀保)の鑑賞会です。
私は日刀保の名古屋支部に加入させて頂いており、毎月実施されている刀の鑑賞会に参加しています。鑑賞会では、単に刀を鑑賞するのではなく、初めは茎を隠した状態で鑑賞する「入札鑑定」を行なっています。入札と言うとオークションみたいな響きがありますが、これは茎に彫られた作者銘を隠して、刀身の特徴だけで作者を推定するというものです。
残念ながら私はまだ知識不足で全然当てることはできないのですが、のちの解説で刀工の特徴や刀の見方を教えてもらえるので、初心者なりに毎回楽しんでいます。ちなみに前回は「古刀で柾目肌であればほぼ保昌派」、「梨子地肌というのは粟田口派にしか使わない表現」ということを教わりました。
名古屋支部に関しては、一定の入会資格がありますが、「日本刀や刀装具に興味のある方、日本刀について勉強したい方、 日本刀とその歴史に興味をお持ちの方はぜひご入会下さい」とサイトには書いてありますので、気になる方は一度連絡を取ってみてはいかがでしょうか。
-
入札鑑定とは 「入札鑑定とは」をはじめ、日本刀に関する基礎知識をご紹介します。
-
日本刀の茎(なかご)とは 「日本刀の茎(なかご)とは」をはじめ、日本刀に関する基礎知識をご紹介します。
-
古刀 「古刀」をはじめ、日本刀に関する基礎知識をご紹介します。
-
「日本美術刀剣保存協会」は、日本国の文化財の保護と文化の普及振興に寄与することを目的として活動しています。
推し刀剣
業務や鑑賞会を通していくつか刀を持ってみたことで、私なりに好みが出てきました。私が実際に手で持ってみて良さを感じた「推し」刀剣を紹介します。全部刀剣ワールドの所蔵品です。
刀 無銘 来国光(鎌倉時代後期 特別重要刀剣)
太刀 銘 吉用(鎌倉時代中期 特別重要刀剣)
刀 銘 越後守包貞(江戸時代 特別重要刀剣)
名古屋刀剣ワールドで刀を持とう!
実際に刀を手で持つことは、なかなか体験できることではありませんが、「名古屋刀剣ワールド」では学習室にて定期的に「刀剣鑑賞会」を実施する予定です。鑑賞会では毎回、当館の所蔵刀の中から数振を手で持って鑑賞して 頂けます。お気に入りの刀が見つかるかもしれませんよ!
詳しくはつどPRさせて頂きますので、刀を手で持って観てみたいという方は、お楽しみにして下さい。