火縄銃の基本

火縄銃の美術的価値と所有・処分の注意点

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「火縄銃」は、戦国時代から江戸時代にかけて急速に発展を遂げ、明治維新後に新式の銃が登場するまでの間、日本では実に多くの火縄銃が製造されました。現在、国内で「美術工芸品」として銃砲刀剣類登録証が発行されている古式銃は約50,000挺(ちょう)あり、そのうちの約8割が、火縄銃だと言われているのです。現代における火縄銃について解説します。

現代にもファンの多い火縄銃

美術品・骨董品としての火縄銃

火縄銃

火縄銃

火縄銃」の歴史は長く、13世紀に中国で原型となる火器が生まれ、ヨーロッパで改良が加えられたあと、現在の形状に発展しました。

異国の文化や歴史を通して作られてきた火縄銃は、美術品や骨董品として扱われる武器の中でも、非常に人気が高いと言われています。

また、戦国時代から江戸時代にかけて、戦場で多用されてきたことから、日本刀などの武器と同様に、ファンやコレクターが多い分野とも言えます。現代において火縄銃は、観賞用の美術品や骨董品としての価値を見出されているのです。

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火縄銃の鑑定方式と鑑定ポイント

日本製の銃は、1867年(慶応3年)以前に製造された物は「古式銃」、同年以降の銃は「現代銃」として区別されています。そのなかで、美術品や骨董品としての価値が認められた火縄銃は古式銃に分類され、その鑑定ポイントは、銃の生産地や流派で分けられます。日本製の火縄銃は、製造された地域によって形状が異なるため、一般的には生産地名を冠した名称で呼ばれており、その代表的な地域は5つに分類されています。

代表的な火縄銃の産地

国友筒(くにともづつ)
国友筒

国友筒

「国友」は、現在の滋賀県長浜市国友町に当たる地域。

現存数が多く、様々な形状で作られているのが特徴。

銃身内部の機構に2つの真鍮(しんちゅう)製の巻きバネがある「二重ゼンマイカラクリ」や、木目を綺麗に出した火縄銃が見付かっています。

薩摩筒(さつまづつ)
「薩摩」は、現在の鹿児島県西部に当たる地域。火縄銃が伝来した当時の形状に近く、全長は短め。火縄を挟む「火ばさみ」が、極端に小さいのも特徴です。
備前筒(びぜんづつ)
備前筒

備前筒

「備前」は、現在の岡山県東南部に当たる地域。引金の周りを守る用心鉄(ようじんがね)がなく、銃床(じゅうしょう)がやや先細りで黒く着色されているのが特徴。

鉄製の外バネ式(バネが外部に出ている)のカラクリを持ち、銃身は丸みを帯びています。

堺筒(さかいづつ)
堺筒

堺筒

「堺」は、現在の大阪府堺市に当たる地域。

国友筒と同様に、数多く現存しています。装飾を重んじており、形状や品質が多種多様であることが特徴です。

米沢筒(よねざわづつ)
「米沢」は、現在の山形県米沢市に当たる地域。鉄製の大きな用心鉄が付いており、銃床が下方に曲がっていることが特徴。金属の輪とネジで銃身が木部に固定してあり、全体的に重厚な作りとなっています。

また火縄銃は、生産地ではなく銃身の大きさによって種類分けされることもあり、さらには「状態が良い」、「希少価値が高い特徴」、「時代が古い」といった条件を満たす火縄銃には、高い美術的価値が付くと考えられているのです。

火縄銃を所有するための知識

銃刀法違反に問われてしまうケース

現在の火縄銃に関する登録制度は、「銃砲刀剣類所持等取締法 第14条」において、美術品や骨董品として価値のある火縄式鉄砲などの古式銃は、各都道府県の教育委員会で登録するように規定されています。

これは、日本刀を所持するための規定と同様で、火縄銃についても、「銃砲刀剣類登録証」がなければ所持することはできません。銃砲刀剣類登録証がなければ火縄銃などの古式銃の所持は、銃刀法違反に当たるのです。

ただし、銃砲刀剣類登録証が発行されないケースもあります。銃砲刀剣類登録証は、歴史的な価値がある刀剣や銃砲を保護する目的で制定されました。そのため、古い火縄銃を模して作った、いわゆる「レプリカ」を登録することはできません。よって、発砲機能が付いていないレプリカは、銃砲刀剣類登録証なしで所持していても、銃刀法違反には当たらないのです。

また、レプリカではなく古式銃であっても、その入手後に威力や射撃精度を高めようと改造された銃は登録できません。この場合、古式銃には例外なく発砲機能が付いているため、処分しなければ銃刀法違反となってしまうので注意が必要です。

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    刀剣類の購入(所持)や譲渡・相続の際には、名義変更届を教育委員会に提出します。お住まいの地域からお探し下さい。

火縄銃を発見したときの手続きの流れ

銃砲刀剣類登録証

銃砲刀剣類登録証

まずは発見した火縄銃、その収納袋やケースに銃砲刀剣類登録証が付いているかを、よく確認しましょう。

銃砲刀剣類登録証がない場合は、登録が行なわれていない、または銃砲刀剣類登録証を紛失していることになるため、所有者はすぐに登録を行なわなければなりません。

登録の手順としては、まずは警察署への「発見届」の提出を行ないます。すると、銃砲刀剣類登録証の発行待ちという状態になり、「発見届出済証」が渡されます。これにより、火縄銃を所持していても銃刀法違反にはなりません。

次に、警察署から都道府県の教育委員会へ発見届の通知がされたあと、教育委員会より、「銃砲刀剣類登録審査会」開催の案内状が届きます。審査日は地域によって異なり、多い地域では1ヵ月に1回程度開かれていますが、少ない地域では年に1回の場合もあります。

所有者による特段の申し出がなければ、住所地に近い場所の会場が記された案内状が送られて来ます。万が一所有者が銃砲刀剣類登録審査会に参加できない場合は、委任状があれば、第三者が手続きを代行することも可能です。

登録審査会へは、案内状、発見届出済証、「銃砲刀剣類の現物」を持参し、審査の手数料として銃砲刀剣類1品につき、6,300円が必要となりますので現金も用意しておきましょう。この審査で火縄銃に美術品としての価値があると判断されれば、銃砲刀剣類登録証が発行されます。

審査の結果、銃砲刀剣類登録証が発行されない場合でも手数料は返却されませんので、注意が必要です。

  • パブリネット 警察署

    刀剣の紛失や盗難、また保管を委託する場合、警察署への届出が必要です。

  • 文化庁

    刀剣を海外に持ち出す場合、古美術品輸出監査証明証の発行が必要です。

火縄銃の売却・購入方法

火縄銃は骨董屋やオークションサイトなどで、いつでも売却や購入が可能ですが、レプリカでない限り銃砲刀剣類登録証が付属されていない火縄銃の売買は認められていません。そのため火縄銃を売却したり、購入したりする際には、銃砲刀剣類登録証の有無を確認することが大切です。

また、火縄銃は骨董屋などの他にも、主に日本刀などを取り扱う刀剣商(刀剣店)などでも販売されていることが多く、実店舗のみならずWebページでの通信販売を行なっているお店も増えています。近くに骨董屋がない場合や、いろいろな種類の火縄銃の商品を見てみたい場合は、ぜひ検索してみて下さい。

全国の刀剣商(刀剣買取・販売店)リンク全国の刀剣商(刀剣買取・販売店)リンク
日本全国の刀剣商(刀剣買取・販売店)を一覧でご覧頂けます。

火縄銃の処分方法

前述の通り、美術品として価値がないと判断され、登録不可能なった火縄銃は、所持できないため管轄の警察署に相談して処分して貰うことになります。

また、日本刀であれば、刀装具などを分解して所持することが認められているように、火縄銃についても部品を所持することは違法ではありません。火縄銃を分解した際に出てきた部品は、記念に所持することも、それらを売却することもできます。

刀装具の解説はどのようなものか解説します。